たまには症例を書いていきます。

40代後半女性。一年前に突発性難聴を発症し薬物療法とマッサージで半年後難聴は治ったものの、耳鳴りだけが続いているということで来院されました。自覚症状はないが耳鳴りのある側の首肩がつっぱっているような気がするとのこと。

脈舌ともに気になる所見はなかったのですが、下腹部の力が弱く、全体的に元気を消耗しているとの印象でした。足のむくみがある程度でそのほかに気になる症状はなく、部分治療で問題ないと思いましたが、下腹部や手足のツボにも治療を加えることで、局所治療(症状に対する直接的な治療)の効果が出易いと考えました。具体的には、耳周囲や首周りの血流改善に全身のバランス調整を加えるというもの。主に小腸経、三焦経、胆経のツボを使いました。

3回の治療で首のつっぱり感が初回時の辛さから6割ほど減少。耳鳴りも3〜4割減少しました。ところが週末に長距離ドライブをするなど疲れたこともあり、一旦ほぼ元の状態に戻ります。また、その時に刺した鍼の違和感が耳に残り、5回目の治療時には耳鳴りが増強してしまいました。耳から首にかけては知覚が鋭敏な部分でもあり、鍼の違和感は多少残ることがあるのですが、治療手段を直接灸に変更しました。その後8回目の治療時には耳鳴りはあるものの以前より気にならない程度まで改善、9回目で初回時の辛さから8割減小し、ほとんど耳鳴りが気にならなくなったため、約1ヶ月半の治療を一旦終了しました。

このような原因不明の難聴、耳鳴りは一般的にストレスや自律神経失調、加齢と関係が深いとされています。この方の場合はこれらの原因が大きいとは考え辛く、唯一の手がかりが首の凝りでした。首は脳と体幹をつなぐ大事な血管や神経が沢山交通しているのですが、簡単に血流障害を起こし、目や鼻、耳、脳の症状につながり易いのです。

耳鳴りは、治療開始が早ければ早いほど鍼による改善が期待できます。逆にいえば放置しておけばおくほど治り辛いということも。年齢も関係してきます。肩首の凝りやストレスなど生活のなかから改善できることを実践していくことも大事です。耳の症状にお悩みの方、一度鍼治療をお試しになりませんか?