逆子とはり灸治療について

分娩がスムーズに行われるためには、おなかの赤ちゃんの頭が下に、お尻や足が上にある、頭位といわれる位置にあることが大事です。どういうわけか、赤ちゃんの頭が上や横に向いてしまった状態を、骨盤位、または逆子といいます。

逆子のまま分娩を迎えると、難産や分娩の際の事故につながるリスクがあるため、現在ほとんどの産科施設では帝王切開の適応となります。

何よりも無事に赤ちゃんが産まれてくれるための選択とはいえ、帝王切開はお母さんにとって麻酔事故や大量出血、術後の肺塞栓症などのリスクもあります。また、一度帝王切開で出産すると、次回の妊娠では、子宮破裂のリスクを考慮し、胎児の位置にかかわらず帝王切開となるケースがほとんどです。できればおなかを切りたくない、と考える方が多いのはこうした理由によります。

逆子の矯正方法は主に3つあります。1つはいわゆる逆子体操ですが医学的根拠は全くないそうです。にもかかわらず、体に負担のかかる姿勢を長時間行うことでかえってお腹が張ったり苦しくなったりしやすいことから、余りお勧めできるものではありません。

2つめは外回転術です。国立成育医療センターによると、麻酔ありでの成功率は初産婦66.7%、経産婦で87.1%という報告があります。一方で、一過性の胎児心音異常や破水、緊急帝王切開などの術に伴う合併症リスクもあります。効果を確実にするために子宮収縮抑制剤、麻酔の使用が一般的です。

はり灸は、上記2つの方法に比べ、体への負担が少なく、かつある程度効果の期待できるものとして利用されています。お母さんの体の冷えが強いと逆子になるばかりか、妊娠中のトラブルや難産につながる可能性が高いことも分かっており、はり灸によってからだから冷えを退治する効果も期待できます。

医学的研究の余地はまだあるものの、症例ベースでは、逆子の矯正率は11.7%~92.3%のばらつきがみられますが、単純平均すると83.1%。もう少し詳しくみると、治療開始時に28~33週であった妊婦さんの矯正率は70~90%で早ければ早いほど矯正率が高い結果になっています。逆子がわかったらできるだけ早くはり灸治療を受けたほうが返りやすいということですね。

ただし、へその緒が赤ちゃんに巻きついていたり陥落しているなど、逆子でなければ安全に産まれることができない場合もあります。

また、副作用のリスクは低いとはいえ、妊娠中のはり灸治療は、お灸をしたところに軽度の水泡や発赤を生じたり、吐き気やお腹の張りを誘発することも稀にあります。万が一のことを考慮し、事前に主治医の同意を得たうえで行うことをお勧めします。