一生で体内にわずかスプーン一杯しか分泌されないにもかかわらず女性の身体に大きな影響を与える女性ホルモン。ほんの少しバランスを崩しただけでたちまち不快な症状を引き起こします。

エストロゲンは生理周期の前半に多く分泌され、女性の身体を女性らしくし、子宮内膜を妊娠、出産に適するようにします。一方で、体脂肪や水分を体に溜めたり血栓を出来易くするなどマイナス面も生理周期の後半に多く分泌されるプロゲステロンには、こうしたエストロゲンによるマイナス効果を防ぐ働きがあります。裏を返すと、エストロゲンに対してプロゲステロンのレベルが均衡しなければ、エストロゲンが優位になり、様々な症状がおきると考えられます

そして、エストロゲン過剰による副作用を抑えるために開発されたのが、市販の低用量ピル(OC)。人工エストロゲンの用量を出来るだけ減らし、人工のプロゲステロン(プロゲスチン)を配合することで、エストロゲンに対するプロゲステロンによる拮抗作用を期待するものです。

ところが、人工のプロゲステロン(プロゲスチン)にも問題があります。人工エストロゲンと同様、体内で作られるプロゲステロンと似て非なるものがゆえに、体内で様々な症状を引き起こします。

プロゲスチン

前回掲載したエストロゲン v.s.プロゲステロンに加え、人工のプロゲステロンによる体への影響をまとめたものがこちらです。体内で作られるプロゲステロンとは概ね反対の作用をもつことが分かります。

まとめると、ピル使用による体内への影響は、人工の合成ホルモンを体内に入れることによるホルモンバランスの崩れ、具体的にはエストロゲン過剰によるもの、若しくは、人工のプロゲステロンの作用によるもの、と考えられます。

ピル使用による身体への影響については、様々な研究が行われています。その多くが血栓症、或は癌に関するもので、前者はリスク上昇、後者は結論がまちまちなようです。

参考までに、超低用量ピル、ヤーズ錠の添付文書に記された副作用についてあげておきます。

⑴重大な副作用
血栓症(頻度不明):血栓症(四肢,肺,心,脳,網膜等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,下肢の急激な疼痛・腫脹,突然の息切れ,胸痛,激しい頭痛,四肢の脱力・麻痺,構語障害,急性視力障害等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.

(2)その他の副作用(1%以上の頻度で報告されているもの)
・生殖器:不正子宮出血、性器出血、月経痛、下腹部痛、月経過多、機能性子宮出血、消退出血、無月経、外陰部膣カンジタ症、子宮平滑筋筋腫
・乳房:乳房不快感、乳房痛、乳腺症、乳腺繊維腺腫、繊維嚢胞性乳腺疾患
・消化器:悪心、嘔吐、腹部不快感、腹痛、上腹部痛、便秘、下痢、胃炎、胃腸炎、口内炎
・精神神経系:頭痛、傾眠、不眠症、浮動性めまい、回転性めまい、感覚鈍麻
・呼吸器:鼻咽頭炎
・腎臓:尿中蛋白陽性
・血液:凝固検査異常、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体上昇、プラスミノーゲン上昇
・電解質代謝:末梢性浮腫
・内分泌・代謝系:トリグリセリド上昇、コレステロール上昇
・筋・骨格系:背部痛
・皮膚:痤瘡、湿疹、蕁麻疹、色素沈着
・その他:倦怠感、CRP上昇、体重増加

また、その他の注意事項として、静脈血栓症、子宮頸癌、乳癌、良性肝腫瘍のリスクが高まるという海外での研究報告を紹介しています。

これだけの副作用をもたらすピルですが、もちろん効用もあります。
次回は、ピルの使用目的について考えてみます;-)