自覚症状もないのに健康診断などで突然コレステロールや中性脂肪の値が高いと言われ、対処法に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

食事から摂取する三大栄養素のひとつである脂質は、脂肪酸、中性脂肪、コレステロール、リン脂質の4種類に分かれます。このうち、脂肪酸は体内での活動に必要なエネルギー源、リン脂質は身体中にある細胞の膜を構成する成分で身体を構成するために必要不可欠な成分です。

コレステロールも細胞膜やステロイドホルモンの材料として重要な役割を担う脂質なのですが、問題はその中身:roll:。コレステロールを末梢組織や細胞膜や生理活性物質の材料を送るリポ蛋白を低比重リポ蛋白質(LDL)と言うのですが、これが血液中に必要以上に増えてしまうと血管壁に沈着して、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化に関連した疾患の原因となるのです。いわゆる悪玉コレステロールです。これに対し善玉コレステロールといわれる、高比重リポタンパク質(HDL)は、身体の隅々の血管壁にたまったコレステロールを回収して肝臓に運んで動脈硬化を予防する働きをしています。

脂質異常症の診断基準(空腹時)は以下のとおりです。

・高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値140mg/dl以上
・低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値40mg/dl未満
・高中性脂肪(トリグリセライド)血症:中性脂肪値150mg/dl以上

女性ホルモンであるエストロゲンはHDLコレステロールを減少させ、LDLコレステロールを増やす働きがあります。上記の基準をあてはまると、エストロゲンが減少する更年期以降、とくに50歳以上の女性であれば実に50%以上が脂質異常症と診断されるようになります。

さて、脂質異常症と診断された場合、即薬物治療を行わなければならないかというとそういう訳ではありません。2007年に日本動脈硬化学会により発表された「脂質異常症の診断基準」によると、動脈硬化性疾患リスクの度合いに応じて治療内容及びLDLコレステロール管理目標値が定められています。具体的には、LDLコレステロール値以外の以下の主要危険因子がいくつ当てはまるかを基準にします。
・加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDLコレステロール血症(<40mg/dl)

上記の主要危険因子に該当しないか、該当しても2以下であれば低・中リスク群としてまずは生活習慣の改善を行た後薬物治療の適応を考慮することになります。女性の場合、女性ホルモンと密接な関係があることから、「閉経前の脂質異常症は、非薬物療法が中心となり、閉経後は危険因子を勘案し薬物療法を考慮する」とガイドラインで規定されています。なお、
該当が3以上か既に冠動脈疾患を発症したことのある方は薬物治療はファーストチョイスのようです。

その他、元々の疾患がありそれが原因となって脂質異常症が発症している場合もあります(ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、ステロイド剤投与、閉塞性黄疸、クッシング症候群、降圧剤服用、肝細胞癌など)。以上に該当する場合若しくは治療を開始してもなかなか改善がみられない場合は要注意です。

次回は脂質異常症を改善させるための食事療法について記します。